詐欺師・悪魔の説得術―なぜ人は「ありもしないウソ」を信じてしまうのか? (久保博司/宝島社/2003)

 過去にあった詐欺犯罪の具体例を挙げ、そのテクニックを解説しています。人を騙すうえでの心構えとして「強靱な精神力を持つ」「良心を捨てる」と書かれているのにはゾッとしました。

 数々上げられている詐欺犯罪例は、どれもこれも”どうしてこんなことで騙されてしまうのか?”というようなものだったりします。たとえ本書に書かれている騙しのテクニックに効果があるとしてもやはり騙された側にも問題があるのではないかという気がしてしまいます。

 結局のところ、本書では述べられていませんが、詐欺師の最大のテクニックというのは、騙されやすい人をかぎ分ける嗅覚にあるのではないかという気がします。

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その後の仁義なき桃尻娘(橋本治/講談社/1983)

 有名な女性独白文体「桃尻語」を生み出した「桃尻娘」の続編です。前作は読まずにいきなりこの続編を読みましたが、特に問題はないでしょう。本書はストーリー性に評価する部分はなく、あくまでオリジナリティ溢れる文章表現を楽しむ小説だからというのがその理由です。

 読みやすさと独自の雰囲気はさすがでした。中盤には「・・・・・・」が多用され、しまいには三ページにわたって永遠と「・・・・・・」だけの実験的な表現も登場します。それは大学生活の空虚さを表しているんですが、衝撃的でありながら桃尻語らしい軽さを保持しているのが素晴らしいと思います。単にやった者勝ちのアイディア勝負ではない高度なエンターテイメント性を感じざるを得ません。

 その一方、ストーリーはあまり印象に残っていませんが、前述の理由で全く問題はないと思います。

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人間関係(藤原和博/ちくま文庫/2007)

 タイトルのとおり、コミュニケーションについての本です。ですが、ハウツー本ではなく、著者の体験を元にしたエッセーのような読み物です。なので読みやすいですが、体系的にまとめられているわけではないので実際の場面で役に立つことはないでしょう。それに読み物としても内容が浅くてあまり印象に残る部分はありませんでした。あまり人にオススメするような本ではありません。

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つっこみ力(パオロ・マッツァリーノ/ちくま新書/2007)

 およそちくま新書とは思えないコミカルな文章の体裁に面食らってしまいましたが、内容は単なるお笑いではありませんでした。

 ここでいう「つっこみ力」とは、現実の出来事、物事を捉える視点とでもいうべきものです。たとえ世間でコンセンサスを得ている事象であっても視点を変えて「つっこみ」をすれば別の解釈が可能であり、時には価値の逆転も生じるということが本書のテーマです。

 そのテーマ性はよくわかります。しかし内容的に軽い題材ばかりで、読後感が物足りませんでした。物事には色々な切り取り方があるということに「つっこみ力」という分かりやすい言葉を当てはめた、ただそれだけの本という印象です。

 著者のパオロ・マッツァリーノは、”日本文化に造形の深い、自称イタリア生まれの30代”という妙な紹介をされていますが、実は内藤朝雄という社会学者だそうです。パオロ・マッツァリーノはくだけた文体の著作に使うペンネームで、本書はその第三作目。前二作の評判は本書よりも良いらしいので、まずはそちらを読むべきだったのかもしれません。

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絶対相手にNOと言わせない心理交渉術―シチュエーション別実戦説得テクニック(内藤 誼人 /オーエス出版/2002)

 まず必要なのが、相手に信頼感を持たせること。そのためには自分に自信を持たなければならない。その上で、シチュエーションに応じた様々なテクニックを用いる。ただし、策に溺れてはけない。・・・・・・以上が、本書の要約です。紹介されている具体的なテクニックの内容は、数多ある心理テクニック本の内容と変わりません。本書に限って特筆すべき点はまるで見あたりません。先に発行された「絶対相手にYESと言わせる心理作戦」の姉妹編なんだそうですが、前作を読む気にはとてもなれませんでした。

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プラトニックセックス(飯島愛/小学館文庫/2001)

 行間が広いので読みやすいというか、あっという間に読み終わってしまいました。小学館文庫は全てこのようなレイアウトなんでしょうか?内容に関しては、とくかく薄っぺらいという印象です。興味を引かれたのは、本当に本人が書いたのかどうかということだけ。よくよく考えれば飯島愛本人に特に興味は持っていませんでした。それなのに本書を読んでしまったのは、各種メディアによる話題作りに踊らされてしまったからに違いありません。読んだ後、自分を恥じました。

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私という病(中村うさぎ/新潮文庫/2006)

 妻が浮気体験を綴る告白ポルノ小説の定番ストーリーでは、序盤に夫やら日常生活に対する不満を挙げて浮気に至った動機を説明するのがお決まりなんですが、その部分をひたすら長くしたような内容です。著者によるデリヘル体験という部分にリビドーを刺激された読者の期待に添う記述はごく僅かで、正直言って私としても期待外れでした。また、本書の本題となる内面分析の部分に関しても、ものすごく普通のことが書かれている印象で、まるで個人ブログの日記を読んでいるような気分でした。中村うさぎに個人的思い入れのある人以外が読むにはちょっと辛い内容だと思います。

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腐女子化する世界(杉浦由美子/中公新書ラクレ/2006)

 知られざる腐女子たちの変質的な実態を暴く見せ物ルポルタージュを期待した読者は確実に裏切られる内容です。本書内で腐女子は、現代女性を社会学的に考察する切り口として扱われているに過ぎません。非常に大真面目な本です。情報が雑多でまとまりきれていない印象もありますが、多面的な考察を並べて見せている点で好感が持てます。本書はむしろ腐女子をキーワードにしなくても良かったのではないかとも思うんですが、そこは著者が腐女子評論で名を上げたライターであるという事情があったからなんでしょう。期待は外されましたが面白い内容でした。

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変身(東野圭吾/講談社文庫/1994)

 脳を移植する話というのは昔からあるアイデアですが、この小説は脳の一部だけを移植する話です。術後は順調に見えた青年が、やがてドナーの意識に蝕まれるように性格が変貌していきます。内容にSFっぽい理屈づけや最新の脳科学に関する知識を盛り込むといった趣向はありません。あくまで純粋にオカルト調のサスペンス小説です。その点でなんだか物足りなさを覚えました。

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国家の品格(藤原正彦/新潮新書/2005)

 2006年の大ベストセラーであり、後の「○○の品格」ブームを作り出した本書なんですが、内容としては大抵のベストセラーと同様に薄っぺらくて結局なんだかよくわからないようなシロモノです。売れた理由は、日本文化の賛美がほどよい程度にちりばめられている加減の良さなんでしょうか。自らのアイデンティティーを失った者が最後のよりどころとする国家について、本格的な右翼思想には嫌悪感を抱いてもこれくらい遠回しな肯定というのは非常に心地よい読書感を与えるのだと思います。

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